「危機の指導者チャーチル」冨田浩司著

新潮選書。イギリスの首相チャーチルに関する評伝。
チャーチル第一次世界大戦には海軍大臣で、現状打開のために行ったガリポリの戦いに失敗したせいで、好戦的すぎて危険な政治家とみなされるようになった。
第二次大戦前夜までに最も政治的キャリアの長い政治家となるも、周囲からは警戒されて一匹狼的であり、首相になることはできなかった。
ナチス・ドイツヒトラーに対して、イギリスの首相チェンバレンは国論となっていた宥和政策を取るも、ついにドイツのポーランド侵攻にいたり、最も宥和政策に反対していたチャーチルが危機の指導者として首相になるという展開。
チャーチルがどういう人物かイメージ先行でよくわかってなかったのですが、これを読むことで勉強になりました。危機の時の政治家のリーダーシップと言うことを考えると、今の日本はどうかと考えてしまう。

「完全なる証明」マーシャ・ガッセン著

ポアンカレ予想を証明するも、ミレニアム問題の賞金100万ドルを拒否した数学者ペレルマンの評伝。
ペレルマンと同様に旧ソ連の数学エリート教育を受けた人間が著者で、旧ソ連の数学アカデミーの雰囲気が非常に詳細に述べられています。
ソ連の数学アカデミーの政治性の強烈さと、ペレルマンの特異なパーソナリティが印象的な内容です。