「武田信玄 山の巻」新田次郎著

全4巻の最後。

信長が上洛し、信玄は焦る。

駿河を掌握後、西上作戦を開始。伊那から天竜方面に進出し、遠江へ侵攻。

遠江の要二俣城を陥落させる。

浜松城に籠もる徳川軍を三方原に誘い出し、野戦で勝利。徳川軍を粉砕する。

三河野田城を陥落したところで、信玄の命が尽きゲームセット。

この時点で、朝倉が撤退して、信長は岐阜方面に転進できていたため、信玄が死なずに決戦できていたらどうなっていたか。

三方ヶ原の戦いの武田軍の巧緻ぶりが最後のハイライト。

「牧師、閉鎖病棟に入る。」沼田 和也著

牧師で幼稚園園長だった著者が、精神のバランスを崩して精神病院に入院した体験記。

閉鎖病棟に2ヶ月、開放病棟に1ヶ月入院して退院。その間の病棟で出会った患者との日常や、自分の精神の振り返り。

牧師をやっていて、仏教とかの宗教や哲学の知識があって、語れる人が、日常から阻害された世界について語るという非常に貴重な内容だと思う。閉鎖病棟にいる若い人たちの精神が切ないほど幼く、日常からほんのすぐそばにこんな光景が広がっていることに言葉がない。

よくわかりやすく話すことが重要とされるが、わからないことをわからないと認めつつ、それでも話そうとすることも重要であると思う。言葉にできないことを言葉にしようとする、結構仏教的な気がする。

「大戦勃発」3,4トム・クランシー著

大戦勃発の後半。3巻の途中までが壮大な前フリで、以降中国軍によるシベリア侵攻が開始される。それまでがダルい分現代戦の描写はカタルシスがあり引き込まれる。

前作でもそうだけど、米軍がやたらワンサイドゲームになるのは、本当なのかなあと疑問に思ってしまう。この小説はアメリカ人読者用の俺TUEEE小説なのでは・・・

トム・クランシーがロシア人に同情的で、アジア人に差別的なのも気になるなあ。

中国人はクリンゴン星人で、ロシア人とはわかり会える的に書かれるけど、ロシア人もそんなに理解できるようなもんでもない気が。その点はレッドメタル作品は結構良かったと思う。

「武田信玄 林の巻」新田次郎著

武田信玄二巻。

今川義元桶狭間で討ち取られ、信玄は駿河取りの計画を進める。

信濃の支配権を得るために川中島海津城を築城。

前半のクライマックスたる上杉との川中島の戦いが勃発し、両軍大激戦の未、海津城を確保した武田軍が勝利。北信濃の支配権を得た。武田軍が勝ったとはいえ、信繁や山本勘助が死に、死屍累々だ。

「武田信玄 風の巻」新田次郎著

全4巻の最初。新田次郎の息子の勝頼の話は先に読んだ。

武田晴信が父の信虎を追放して、家督を継ぎ、

信州の諏訪、小笠原、村上と戦いを繰り広げる。

最初の頃から結核の気配があり、体調不良だと判断がおかしくなる。

晴信は戦上手と言われるものの、話の中では体調不良からか、負け戦になることが度々。それでも結果的にリカバリーして領土を広げているのは、戦闘能力だけでなく全体の総合力が高いからか。

側室がたくさん出てきて、女絡みの話も多い。

この巻の後半で長尾景虎が登場し、川中島の戦いの1,2回が行われる。この時はまだ大規模戦闘はない。甲相駿三国同盟を締結して、南方を安定させ、北信での戦いに備える。

「大戦勃発」1,2 トム・クランシー著

ジャック・ライアンものの全4巻のうち1,2。

前回合衆国崩壊でライアンは大統領になり、イスラム共和国を粉砕しました。

今回、ライアンは大統領選挙に勝利して大統領を継続中。(大統領は向いてないとことあるごとにぼやくのは若干見苦しい。)

日本、イランと戦争して、今回の敵は中国です。前の2つの戦争で裏から糸を引いていた裏ボス足る中国の張さんがいよいよ出てくるわけですが、実際に出てくると小物感が・・・

ロシア政府高官暗殺未遂、シベリアの資源と防衛戦力の欠如、中国国内でのCIAスパイの暗躍、米中貿易協議、中国国内キリスト教徒の話がザッピングします。

中国の一人っ子政策の遂行方法は結構怖い。

2巻までに、中国がいろいろやらかし、暗雲が立ち込めてきたところで次回。