「世界史を変えたパンデミック」小長谷 正明著

コロナで時間ができた著者が感染症について書いた新書。

感染症で人間が塵芥のごとく死んでいくのは慄然とする。

ローマはチフスが蔓延していたので、外国の征服が長続きせず、イタリア人の教皇が多かった。

スペイン王家にはあまり良いイメージがなかったのだけど、ナポレオンによって国を追われたカルロス4世は種痘キャンペーンを送り出して世界一周させたという善行がある。種痘を保存するために孤児を何人も船に乗せてリレーさせた。

「タコの知性 その感覚と思考」池田 譲著

研究者によるタコの色んな情報。

タコとイカの違いって足の数だけかと思っていたら、色々違いがある。絶対数や種類の数とか、イカは群れるけどタコは個人主義とか。

タコにも社会性があるかもというお話。

目はかなり大きく高機能だけど、色はわからない。

一年しか生きないのに、知性は高いし、母性もある。

十分に解凍されてない餌を与えたら、怒って人間に投げつけたというエピソード。

「神津恭介、密室に挑む」高木 彬光著

密室殺人の短編集。全6話。

ほぼ痴情のもつれ。神津恭介はたいてい殺人を見逃すので、そんなに優秀ではない気が・・・

冒頭の白雪姫の冬の青森の雰囲気が好き。

「投資で一番大切な20の教え」ハワード・マークス著

ハワード・マークス先生の投資本。後に出た市場サイクルを極めるを先に読んでまして、同じようなことを言ってるかな。

こっちのほうが全般的なディフェンシブ投資の心構えの話で、市場サイクルはサイクルにいかに乗るかというお話。

学生の頃は日本学を学んで、無常の考え方を身につけたという驚きのお話。

みんなが楽観的なときが最もリスクが大で、悲観的な時が最もリスクが少ない。

どんなに質の良い投資対象でも、割高なときに買うのはリスクが高い。

「オスマン帝国 英傑列伝」小笠原 弘幸著

オスマン帝国から代表して10名の列伝。

過去に興亡の世界史オスマン帝国とか、トルコのもう一つの顔とか、トルコ関連書籍を読んでいたので、あらましはわかっていた。

オスマン帝国と現代のトルコはつながっているようで、つながってないのね。トルコはトルコ民族による国民国家としている一方で、オスマン帝国オスマン氏の国家でトルコ民族の国家というわけではない。そこに若干の齟齬があるんだな。

そもそもオスマン帝国皇帝の母は、異民族の奴隷出身ばかりで、オスマン氏はむしろトルコ民族入ってないのでは・・・

「日本中世史の核心 頼朝、尊氏、そして信長へ」本郷 和人著

中世におけるキーパーソン数人について、何を考えてどう行動したか。

著者のスタンスとして、法然上人や浄土宗の北条重時を上げたということで、民衆のことを考えていたかという点が重要としています。

源頼朝が田舎武士の娘の政子をなぜ最後まで正妻としたか、明確な理由はわからないが、あえていうと愛していたからという説には感心。

三宝満済の日記から、室町幕府はどのような運営をしていたかわかって面白い。